Technical information 設計・施工者様向け技術情報

  • シンウォール耐震工法とは

    シンウォール耐震工法とは在来工法の約半分の厚みで在来工法と同等の耐力が得られる新たな建築耐震工法の提案です。補強厚の低減によって在来工法で生じていた様々な課題の解決が図れます。

    シンウォール耐震工法とは高強度型無収縮系グラウトコンクリートである「シンウォールグラウトPG」により薄型の増打ち壁補強を実現した省力化耐震補強工法です。 100mm以上の既存壁を対象に、強度(50N/mm2以上)を始め優れた物性ならびに施工性を有する「シンウォールグラウトPG」にて増厚することで、より薄い壁での補強を実現するとともに在来工法の約半分の補強厚で同等の耐力を確保できます。

  • 在来工法の増打ち補強工法の課題

    RC壁の増打ち補強工法は建物の保有水平耐力の向上が容易に図れる標準的な補強方法です。スパン数の多い建物の桁行(長手)方向に比べスパン数の少ない梁間(短手)方向では、内壁を補強対象とせざるを得ず、増打ち補強工法の採用が標準となっています。

    • Problem 大規模な撤去・復旧作業が必要 01

      耐震補強を必要とする多くの建物では既存の梁幅が小さく、増打ち補強を採用する場合、既存の梁幅内に収めることが困難であり、上下階にある既存梁の増打ちが必要となります。その際、当該工事に伴い既存天井の撤去、復旧をはじめ設備配管や配線類の撤去復旧などの道ずれ工事が必要となり大きな負担となっています。

    • Problem 施工に伴う用地の確保 02

      在来工法の生コン打設工事ではポンプ車や生コン車を配置するための用地確保が求められ、市街地や幹線道路沿いに隣接する建物では施工上多くの課題を抱えております。また、高層階にて生コン打設工事を行う場合は長距離の配管や超大型のポンプ車が必要となります。

    • Problem 下層階の補強数の増加 03

      在来工法では上層階にてコンクリート打設工事による耐震壁の増設や梁の増打ち工事を行うと増厚分の荷重が増加するため、連層耐震壁を含め下層階の補強数が増える傾向にあります。

    • Problem 長期にわたる工事 04

      在来工法では生コンの打設後に一定の養生期間を経て無収縮モルタルによる二段階施工が必要となるため工期がかかります。

    シンウォール耐震工法がそれらの課題を解決

    高強度型グラウトコンクリートである「シンウォールグラウトPG」を圧送充填することで、より薄い壁での補強を実現できます。在来工法と比べて約半分の補強厚で同等の耐力を確保できるので、これまで必要だった梁の増厚や天井関連の解体、復旧などの道ずれ工事は不要となり余計な費用や工期を削減できます。

    • Solution 01 シングル配筋による鉄筋量の削減

      在来工法にて壁増打ち補強を行う際、通常ダブル配筋(上図、左)にてあと施工アンカーおよび鉄筋工事を行いますが、シングル配筋(上図、右)によって設計されるシンウォール耐震工法を採用することにより鉄筋量の削減が可能となります。

    • Solution 02 下層階への荷重負担の軽減

      連層階で耐震壁を配置する場合には在来工法からシンウォール耐震工法(壁厚が1/2)への置き替えによって重量負担の面での効果が より発揮されます。したがって、特に高層建物での採用においては補強量の劇的な低減が可能となります。(下図は桁行方向にて置き換えた場合の参考例)

    • Solution 03 補強量の低減

      高強度である「シンウォールグラウトPG」を普通コンクリートの代わりに使用することで、上下階でなく同フロア内において在来工法と同等の厚みで補強する場合には補強箇所数とともに補強量が半減します。

    • Solution 04 施工困難箇所(=高層階)においても施工が可能

      省スペースでの施工が可能なので、生コン打設工事が困難となる高層階(10階以上)でも容易に施工ができます。

    • Solution 05 小型機材によるピンポイントの補強

      シンウォールグラウトPGは小型機材で施工ができるため大規模な施工ヤードを必要とせずピンポイントでの補強が可能です。

    • Solution 06 シンウォールグラウトPGによる工期の短縮

      シンウォールグラウトPGは優れた流動性に加えて無収縮性も有しており、梁底までの完全充填が可能です。そのため在来工法で必要だった無収縮モルタルによる二段階施工は不要となり、工程を削減でき工期の短縮が図れます。